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No Takarazuka No Life

雪組新人公演「凱旋門」観劇

最近の下級生には驚かされることばかりだ。
震えるほど感動した。
新人公演メンバーのひたむきさと一生懸命さが、第二次世界大戦の足音忍び寄るパリで必死に生きようとする亡命者たちの命の輝き、希望と重なって鬼気迫るコーラスだった。
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初出演の縣 千さん

主演は今回が初となる縣 千さん、2015年初舞台の101期生。
研4の101期生が主演を務めるようになった。
華やかさがある。
歌は低音がもう少し出ると思うが、大人で屈折したラヴィックの心情をよく演じていた。

綾凰華さんのボリス

綾さんはロベスピエールを題材とした前作「ひかりふる路」で、トップスター望海風斗さんの役を演じ初主演を果たしている。
その後の全国ツアー「誠の群像」では沖田総司で爽やかで人懐こい総司を儚く演じ印象を残した。
その経験も生きているのかその成長ぶりに目を見張る。
ダンスも上手く、セリフも落ち着いていていい。
ラヴィックを包み込んでいた海のように深い懐の大きさ。
新人公演学年をまとめる「長」の重責も見事に果たした。
次回作「ファントム」では是非とも主演を射止めてほしい。

ヒロインは潤 花さん

2016年初舞台の102期生。
研3とは思えない落ち着いた声のトーン、美しさ、申し分ない。
本役の真彩さんよりも大人っぽさと声のトーンがジョアンにあっていると思う。
私はこちらの方が好き。

ほかの気になる共演者

スペインからの亡命者ハイメ(本役:朝美絢さん)には彩海せらさん。研2。
抜群にダンスが上手い。
新人公演は舞台上に人数が少ないし役が把握しやすいからこういう方を見つける楽しみがある。
主要な場面でボリスとオテル・アンテルナショナールの亡命者たちがラヴィックの心情を表したり情景を表すダンスシーンがあるのだが、特にゲシュタポのシュナイダーに復讐するべくブローニュの森へ行く車のシーンが秀逸。

オテル・アンテルナショナールの女主人フランソワーズにはゆめ真音さん。男役だ。
本役美穂圭子さんのパンチのある歌声には敵わないがよく頑張っていた。

永久輝せあさんのローゼンフェルトには陽向春輝さん。
髪色が明るかったので最初は気づかなかったが、小柄ながら芝居が上手くいつも気にして観ている方だった。
全体的に重く暗い芝居で唯一明るさを振りまく役。似合っていた。

すでに2回ヒロインを演じている彩みちるさんは脇に回っていた。
久しぶりに真ん中に立つお芝居がみたい。
少しお顔立ちは寂しいが実力がある人。
こちらも次回「ファントム」で期待。

綾さんの成長振りに目を見張る

今回ダブルトップで轟さんが主演になったため結果的に望海さんが出ずっぱりになった。
綾さんも大変だったと思う。
長としてカンパニーをまとめ、初主演の縣さんを包み込む包容力も素晴らしかった。
芝居では見せないが、縣さんも綾さんに頼っているというインタビューも聞いた。

綾さんは素直で力のある人。
押し出しが弱いと思っていたがひと皮向けた気がする。もう大丈夫。
星組から組替えした後も気になってずっと見守っている。
これからも応援したい。このままガンガンいってほしい。

新人公演の魅力

新人公演でがっかりしたことがない。
希望しかないから。
加点法で観てるからかな。
なによりも一生懸命さが胸を打つ。
プロフェッショナルたるもの結果がすべてなのだろうけれどここだけは違う。
もちろんお金を払って観るのだけどいつも値段以上の感動とギフトをもらって家路につく。

面白いことに新人公演後、上級生の演技も変わる。
キャリアに関わらず学び合い刺激し合う、宝塚素敵。

輝きたいと願うことで自らが輝き、
自らが輝くことで周りを照らすことができる。

素敵な舞台をありがとう。