この秋の退団が決まっている月組トップスター、愛希れいかさんが主演を務めるバウホール公演「愛聖女-Saint d’Amour」をライブビューイングで観た。
退団する娘役トップはだいたい”ミュージックサロン”というディナーショーをやる。
「娘役」という枠を大きく超越した愛希さんに、”ミュージックサロン”は小さすぎる。
娘役トップがバウ主演を果たす、という宝塚史に新しい歴史を刻んだ。
愛希さんの魅力
愛希さんの魅力は天使のような笑顔、歌、芝居はもちろんチーターのような四肢から繰り出すダンス。
あの細いカラダのどこに、というほどパワフルでソウルフルなダンス。
しかし惜しくも退団公演は「エリザベート」。
愛希さんのエリザベートはそりゃもう素晴らしいだろう。
だろうけれど愛希さんといえばダンス。そう。ダンサーなのだ。
1本もののエリザベートではその素晴らしいダンスを披露する機会はない。
ましてや笑顔も、お茶目なところも封印しなくてはならない。
となれば今回が今一番可愛い愛希さんの多彩な部分を見られる最後のチャンスだ。
ヨシマサですよ!斎藤吉正。
脚本・演出は斎藤吉正先生。今星組で公演している「Killer Rouge」を作った方でもある。
斎藤先生は今、宝塚で一番面白い作品を作る先生だと思う。
そしてファンが生徒のどんなところを観たいかもわかっている。
誰よりも先生自身がファンなんじゃないかと思うくらい。
ストーリーは正直、目新しいこともないし、どこかで聞いたことのある話だった。
太陽フレア(爆発)によって時空が歪められタイムスリップしてしまうっていうお話。
しかし、Detailが凝っていた。
Google HomeのようなAIロボ「グルグル」が家にいて、「OK、グルグル」って話しかけて質問すると答えてくれたり。
またこいつが重要なことを語ったりするんだ。
スタバみたいなコーヒーショップ、「スマダ」があったり。
ネタがよく仕込んであった。
さすが芝居の月組
出演者もうまかった。
月組は今3つに分かれて公演しているのにも関わらず、この層の厚さたるや!!
芝居の月組は健在。
下級生に至るまで、作り込みが違う。
特に今回、ヒロイン、愛希の相手役といっても過言ではない天紫珠李さん。
入団時2番目の成績ながら、なんと娘役へ転向したばかりというではないか。
どこから見ても娘役にしか見えず、こんな子いたかな?としばらく考えてしまった。
研3くらいで転向したのであれば愛希さんのようにトップ娘役も夢ではない。
特に、海乃美月、美園さくらがこのまま上がってしまうのか!?と思っていた矢先、救世主のように現れた娘役。
応援したい。
それから彩音星凪さん。
ビジュアルも美しく、新人公演で月城かなとさんの役をやるなど期待されたイケメンだが
今回はちょっとオネエなプロデューサー役に挑戦。
なんちゅう髪型!ロングで外ハネ、ストライプのスーツと濃いキャラを作っていた。
白雪さち花さん、紫門ゆりやさん、千海華蘭さんといった上級生がしっかりと土台を支えて
下級生が多い公演だが見応えは十分だった。
95期といえば
フィナーレで歌う「夢アムール」。
素晴らしかった。
まさに地球を救う天使の歌声。
95期が初舞台を踏んだ公演の大好きな曲を心を込めて丁寧に歌われていて、涙なしには聞けない。
ライブビューイングってどうなの
今回宝塚歌劇の”ライブビューイング”というものに初めて行ったけど、これはなかなかいい。
自分の見たいカットで見られないから下級生ファンには物足りないかもしれないが、映像も音声も良いし、拍手や手拍子しなくていいから非常に気楽。
一体感、振動・鼓動が伝わるようなライブ感は確かにない。
それでも同じ時間を過ごしている気持ちは伝わる。
チケットが取れなかったり、どうにも現地まで行けない公演にはありがたい!
ライビュ見るくらいならDVDでいいじゃんと思っていたけれどそんなことは全然なかった。
今までごめん。
型破りな大型トップ娘役 愛希れいかさん
さらに今回がバウ公演初のライブビューイングだったらしい。
愛希さんはそんな記録も作ってしまった。
愛希れいかは宝塚史にそんな意味でも名前が残るトップ娘役と思う。