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No Takarazuka No Life

「THE LAST PARTY 〜フィッツジェラルド最後の一日〜」

月城かなとさんの初東上作品。
「THE LAST PARTY 〜フィッツジェラルド最後の一日〜」を観劇した。
幕があがると金髪の眩しい青年がそこにいた。
金髪とタキシードがこんなにも似合う人がいるだろうか。
月城さん待望の初東上作品。熱演。まっすぐさ、正直さが前面に出過ぎていて、ちょっと力んでいた感じはした。
だが、その分、自分の才能を疑わず、ひたすら小説を愛し、ゼルダを愛し、時代に翻弄されたフィッツジェラルドの孤独・凋落・明暗が色濃く現れていた。
破滅的ですらあった。
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ヒロイン

ゼルダ役の海乃美月。奔放で自分の欲望に正直で美しい女性。どうにもならない激しい想いに身体が悲鳴をあげ、精神分裂症を引き起こし、彼女もまた孤独を抱えていた。
難しい役を丁寧に演じていたが、声のキーが高く、ちょっと耳に障ったかな。
海乃さんは上手なのだけれど、線が細いしちょっとお顔が寂しいのよね。
このままトップになるのかなぁ。であれば「華」が欲しいところ。

ダンスで魅せるよ!

アーネストヘミングウェイ役には暁千星。
得意のダンスは封印かと思いきや、しっかり戦場シーンにダンスを盛り込み、魅せ場を作っていた。
若さと風貌のせいか少し軽く見えてしまい小説家にはちょっと見えなかったのが残念。
童顔がこれからも暁さんの課題だろう。

やっぱり芝居の月組、なんだよね

芝居に深みを与えていたのは、夏月都、悠真倫さんと憧花ゆりのといった専科、上級生。
特に夏月都はフラッパーちゃんたちこの時代の他の女性とは対照的な堅物の秘書のキャラクターで笑いを誘っていた。
16名という少人数だったことと下級生が多いせいか何役も掛け持つ人が多く、蘭世恵翔が全場面にいたのではないかという活躍ぶりであったが、あまり変化がつけらなかったのが残念。

美しい音楽に酔いしれ・・・

驚いたのは生演奏だったこと。
日本青年館の舞台袖?奥にはそんなスペースがあったのか。
ピアノが奏でる美しい音楽が本当に心地よく、時に胸を締め付けるように切なかった。

Life!

その切ないピアノの音に合わせた前半の輝かしく希望に満ちた頃に歌う「Life」と傷つきボロボロになって歌う「Life」。
まさか生演奏で聴くことができると思っていなかったのでフットボール片手に歌う月城さんのシルエットに思わず涙がこぼれた。

この夏は冷えたモヒートを飲みながらフィッツジェラルドの小説の世界に浸りたい。
ヘミングウェイも。
そして月城さんが演じる「華麗なるギャッツビー」がたまらなく観てみたくなった。