6月29日(木)、東京宝塚劇場で雪組の新人公演を観劇しました。
原作は鬼才、川島雄三監督の代表作である映画「幕末太陽傳」。
「居残り佐平次」「品川心中」「三枚起請」「お見立て」他、古典落語を組み合わせ、実在した品川の遊郭「相模屋」を舞台に繰り広げられる人間模様を軽快に描いた日本映画史に輝く名作映画です。
本公演はトップスター早霧せいなさんと、相手役咲妃みゆさんの退団公演。
今回新人公演主演を務めた永久輝せあさんにとっても思い入れの深い役となったと思います。
永久輝せあさんは、新人公演主演4回目。「ルパン三世」「るろうに剣心」「ケイレブ・ハント」といずれも早霧さんの役を演じてこられました。
今回、早霧さんが軽妙にコミカルに、ご本人のキャラクターにも通じるような雰囲気で、個性的に演じられた佐平次なので、かなり難役に思われましたが
永久輝さんならきっと素晴らしく演じられるに違いない!!とどうしても新人公演が観たかったのです。
想像以上でした。
永久輝さんは華もあるし、すらっとしていてスーツ姿がよくお似合いなのですが、町人姿もなかなか美しいです。
コミカルな演技も照れることなく堂々とされていて、思いっきりやってもらった方がこちらも気持ちがいいです。殻を破れない方っていますからね。
歌えるし、お芝居の間もよいし、明るいところと笑えるところ、ホロリとさせるところ、のメリハリもしっかりありました。
永久輝さんがまっすぐにこの作品に取り組まれたこと、伝えたいメッセージ、なんだかヒシヒシと感じるものがあって、ジーンとしました。
他、私が個人的に注目した4名。
☆高杉晋作・・・縣 千 (本役 望海風斗)
今回2番手を務めた縣 千さん。101期生が2番手を務める時代になったのですね。
男役らしく、体格がよくて、華もあるし、注目していました。
今回新人公演を観たかったもうひとつの理由は、縣 千さんが2番手だったからです♪
笑顔は可愛いのですが、歌えるし、包容力もあるし、これからがものすごく楽しみです。
☆女郎こはる・・・彩 みちる (本役 星乃あんり)
さすが、新人公演の主演経験、小劇場主演経験者。堂々としていてセリフ回しも確か。可愛らしい。
こはるを嫌味にならず、可愛らしく、でも気は強く。女郎として生きる悲しさと芯の強さをしっかり出していたと思います。
☆貸本屋金造・・・叶 ゆうり (本役 鳳翔 大)
本役の凰翔 大さんにもかなり笑わされたのですが、おいしい役です。
そのおいしさをさらに面白く味付けして、完全に自分の世界に引き込んでいました。
こんなに面白い人だとは知りませんでした。これからの注目株です。(いまさら?)
☆鬼島 又兵衛・・・麻斗 海怜(本役 香綾 しずる)
この役も、本役の香綾しずるさんがかなり笑わせてくれていたのですが、面白く作っていました。
101期生とまだまだ若いので、学年にしては難しい役かな?と思ったのですが。
なにより、客席で見ていた上級生の笑い方がハンパじゃなかったです。
なにがそんなにウケたのだろう・・・と正直??な場面でも、いつまでも笑ってらっしゃいました。
素でもおもろジェンヌなのかもしれませんね。
最後に、永久輝さんの舞台挨拶。長の期の長(新人公演学年での最高学年、さらにその中でも成績トップでまとめ役をしなくてはならない)だったのですね。
宝塚大劇場で見つけたたくさんの課題。新たに組配属になった4月に初舞台を踏んだばかりの研1生もまとめなくては、という長としてのお役目の重責。
主演として落語の話も読み込まなくてはならないし、どうやったらお客様に伝えられるかに悩み、本公演の方たちの輝きにはとうてい及ばないが今の自分たちの精一杯で取り組みました、という言葉に
永久輝さんらしい、まっすぐで、正直で、素直で、優しい挨拶に泣けました。
これまでの重圧と不安とプレッシャーから開放され、舞台を無事に終えられた安堵感からか、挨拶の時って、本当にみんないい表情してるんですよね。
花道の端から端まで、下級生まで全員、しっかりお顔を観るようにしていますが、それだけで泣いちゃいそうなくらい、いつも感動します(涙腺弱すぎ)
新人公演は技術じゃありません。一生懸命さがいいんです。必ず胸が熱くなり、「自分もがんばろう!」って思えます。
宝塚って素晴らしい。
またさらに、宝塚が好きになりました。