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No Takarazuka No Life

宝塚専科公演「蘭陵王」観劇

専科の凪七瑠海さんが花組と共に作り上げた舞台
久しぶりの木村信司先生の作品とあって絶対観たいと思っていた
予習は十分ではなかったけれどあらすじを読んだだけでも面白そう
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美しかったが悪いか

このキャッチコピーを作った方、天才!
チラシやプログラムには入っていなかったと思ったけれど。
なんと挑戦的な。

捨て子&拾われて・・・

美しい少年は拾われてはその美しさゆえ寵愛を受けてきた。
捨てられた少年は「食べるものも寝るところも着るものも与えてやる」と言われては身を委ねるが
結果的にそれは「与えられ」ていたのではない。
「奪われていた」のだと気づく。

京劇にも取り上げられるテーマ

蘭陵王と聞いてもピンとこないがフィナーレのような衣装と面を着けているとなんだか見たことがあるような気がする。
そのあまりの美しさゆえ、戦場では兵士が見とれてしまい戦意を失ってしまうため
仮面をつけて戦った、という伝説が残っているらしい。
強さで語り継がれるのではなく「美しくて強い」なんて伝説、宝塚で演じずに誰が演じるというのだ。

蘭陵王が手柄の褒美に望んだ女性は・・・

戦場で手柄を立て、領地と蘭陵王の名と美女20人を与える、と皇帝から言われた蘭陵王だが
望んだのは大して取り柄もなさそうな女性1人のみ。
しかも蘭陵王の命を狙う奸者として送り込まれた女性だった。
「洛妃」。
洛妃は思惑を蘭陵王に見破られる死のうとするが、説得され命を取り止める。
この歌がまた良かった。

捨てろ、捨てろ、すべて捨てろ
大切と思うものから
それでも捨てたいと思う命があるか
生きろ

うろ覚えだがこんな歌詞だったと思う。
捨てろ・・。

初ヒロイン音くり寿さん

今日の収穫は今回初ヒロインに抜擢された音くり寿さん。
近頃見たどんな娘役さんより、好き。
その魅力、一言で言えば

「慎み深さ」

宝塚には可愛い娘役も綺麗な娘役も踊れる娘役もたくさんいる。
そして歌える娘役。現在トップを務めている方も含め、大勢。
中でも音くり寿さんは、歌がうまいにもかかわらず、ソロで歌っていたとしても

「私の歌、上手いでしょうー!聞いてーー」

という押し付けがましさ、厚かましさがないのだ。
しっかりと主役に寄り添い、その主役への思いを歌に込める中でのうまさ、情感の込め方の深さ。
決して歌だけが一人歩きすることなく
自然に物語の中に溶け込んで歌に思いがのせられていて素晴らしかった。

フィナーレのダンスでの凪七さんとの息もぴったり、バッチリ呼吸を合わせて素晴らしい時間となっていた
このかたは一体どなたのお相手となるのだろうか。
先が楽しみでならない・・・!

瀬戸かずやさんがぶっ飛んでいた件

噂には聞いていたけれどここまでとは。
男性が好きで自分自身も着飾っている。
蘭陵王に思いを寄せるが叶わず、最後は自ら死刑を下してしまう切ない役だが。
自分の思いを伝えらない、力で叶えられないと殺す、時の権力者とはそんなものか。

しかし、瀬戸さんが出てくると空気が変わりクスッと笑いが起こる。
とんでもない大型オネエだった・・・。
今回のような重めのテーマ、舞台では救われる存在だった

プログラムはやはり読むべき

プログラムには必ず、演出の先生のメッセージが掲載されている。
これがとても面白くて、たとえ購入に至らなかったとしても、読むことにしている。
今回も木村信司先生がこの作品を作るにあたってどのように作品を思いついたのか、といったことが書かれていて面白い。

楽曲提供東儀秀樹さん

「蘭陵王」とは雅楽のテーマでもあるらしい。
今回は雅楽者の東儀さんが楽曲を提供されている。
東儀さんは宝塚がお好きだし、身内にタカラジェンヌもいらっしゃった。
なので自分は適役!と張り切って作られた様子のコメントを寄せられていて東儀さんのメッセージが読めたのは貴重だ。
落ち着いて楽曲をもう一度聞くために観劇したい。
残念ながら10日(月)が千秋楽のため観劇は叶わないが、いつかスカイステージなどで放送することがあれば必ず確認しなければ。

先日の「異人たちのルネサンス」が消化不良だったので、やっと昇華できた気がする。
やっぱり宝塚って面白くて最高。